交流分析とはなにか?現役キャリアコンサルタントがわかりやすく解説します。
・交流分析ってどんな理論なの?
・交流分析のポイントを教えて!
・キャリコンの試験ではどのようにでてくるの?
こういったお悩みに答えます。
この記事を書いている私は、
・キャリアデザインスクールの就職・転職キャリアコーチ・コンサルタント
・前職は人材会社で6年勤務、3000名以上のキャリア相談実績
交流分析とは
エリック・バーンにより提唱
交流分析(Transanctional Analysis)とは
「人とのやりとりの分析」という意味をもつ心理療法で、
エリック・バーン(1910~1970)によって開発されました。
小集団による心理療法としてだけでなく、
パーソナリティ論、人間関係論としても理論が確立されていて、
人間関係や個人の発達理解、組織開発などにも広く利用されています。
交流分析の特徴
心理療法としての交流分析の特徴は、人間の自律性の達成にあるとされています。
①理論は自己理解、自己洞察を得られやすいように構成されています。
②「今、ここ」で過去の体験を再現することにより、その体験を検討し、自分の意思決定により新たな自己の行動を選択できる方法論を持っています。
③「親密さ」を重視し、真実の関わり、心からのやさしさ、温かさを強調します。
といった特徴をもつ実存的アプローチです。
主要な概念や技法
交流分析の理論は主に5つの基本概念で構成されます。
・構造分析
・交流パターン分析
・ゲーム分析
・脚本分析
下記でそれぞれ解説していきます。
ストローク(刺激)
人の存在を認める行為、「人は誰しもストロークを求めて生きている」とバーンは言いました。
ストロークには、実際に身体的に接触する「タッチ・ストローク」と、
言葉がけなどの精神的な「認知的(心理的)ストローク」があり、
乳幼児期には「タッチ・ストローク」が不足すると発育不全を起こすとしています。
褒める、励ます、うなずく、微笑む、などが肯定的な認知的ストロークです。
叱咤する、にらむ、無視する、禁止する、などは否定的ストロークです。
構造分析(自我状態)
構造分析では自我の状態を3つに分類し、構造分析を通して、
個人の中でどの自我状態が優勢であるかを明らかにします。
この3つの自我状態とは、親(Parent)、大人(Adult)、子供(Child)であり、
親と子供には2種類の自我状態があります。
親の自我状態には、主として批判や非難を行う批判的な親の状態(CP:Critical Parent)と、
主に褒めたり労ったりする養護的な親の状態(NP:Nurturing Parent)があります。
このような親の自我状態は過去に自身の親から取り入れたものであるとされています。
大人の自我状態とは事実に基づいて冷静に物事を判断する自我状態です。
子供の自我状態には、両親のしつけの影響を受けていない、
感情的、衝動的、自己中心的な自由な子供の状態(FC:Free Child)と、
両親のしつけの影響を受けた部分で、
両親の期待に沿った行動をする順応した子供(AC:Adapted Child)の状態があります。
このような子供の自我状態は過去に自分が子供の時に体験したものであるとされています。
交流パターン分析(やりとり)
人と人の一対一のやりとりの単位。
人間は3つの自我状態を持つので、その人がP、A、Cのどの自我状態で誰に話しかけ、
相手がどの状態で反応するかを詳しく観察することで、
人間関係とコミュニケーションを改善するための手がかりを得ることができます。
ゲーム分析(人生ゲーム)
隠された動機によるやりとりのことで、表面的な心地よさの裏に、必ず不正直な駆け引きがあります。
それがノイローゼや慢性的悪循環の人間関係を作る基となります。
ゲーム分析は交流分析の治療的活用法の中核です。
脚本分析(人生脚本)
交流分析では、人生をドラマと見立て、各自が独自のシナリオを演じるが、
その中で人が演じる役割や筋書きを「脚本」と呼びます。
脚本を分析し、自己実現するための脚本を意識的に建設的なものに書き換えようという、
交流分析の最終段階です。
エゴグラム
自我状態の5つの機能の関係とそのエネルギーの大きさを
棒グラフまたは折れ線グラフで表したものです。
自我状態の5つの機能をどのように使っているかを知ることで自己理解が深まります。
バーンの弟子のデュッセイによって考えられました。
交流分析の試験での出題傾向
過去5回のうち4回出題
交流分析は試験では一体どのように出題されるのでしょうか。
交流分析は第18回~第22回試験の中でも
5回中4回
出題されています。
ですので、出題傾向は高いと言えます。
組み合わせ問題と内容問題で出題される
交流分析は、試験ではどのように出題されるのでしょうか。
第18回~第22回で出た交流分析の問題4問のうち、
2問が「カウンセリングの理論、心理療法の名称、提唱者、関連する用語の組み合わせ」の問題
2問が「理論、提唱者、キーワード」の内容を問う問題
となっています。
理論の内容、提唱者、キーワードを理解する
「カウンセリングの理論、心理療法の名称、提唱者、関連する用語の組み合わせ」の問題とはどのような問題でしょうか。
たとえば
というように、理論家や理論の名称、関連するキーワードの組み合わせが適切かどうかを問う問題です。(上記は正解)
「理論、提唱者、キーワード」の内容を問う問題とはどのような問題でしょうか。
たとえば
問.交流分析に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか
1.交流分析は、エリック・バーンによって提唱された、パーソナリティと
コミュニケーションの理論である。
2.構造分析、交流パターン分析、ゲーム分析、脚本分析の 4 つの分析方法がある
3.交流分析の考え方は、精神分析に由来する点が多い。
4.交流分析で行う4つの分析においては、交流パターン分析が最も重視され、本格的な心理療法であるとされている。
というように、理論家や理論の名称、理論の内容が適切・不適切かどうかを問う問題です。(上記の中で不適切なのは4)
交流分析の問題は、出題頻度が高いので、
理論家・理論の内容・キーワード
上記の組み合わせをしっかり理解しておきましょう。
難問に注意!
「理論、提唱者、キーワード」の内容を問う問題は、
初めて聞くような内容だったり、過去問でも見たことない内容だったり、難しい文章がよく出ます。
しかし、そういった場合でも落ち着いて回答するようにしましょう。
まずは、基本的な問題や組み合わせからしっかりと適切・不適切かどうかを判断するようにしましょう。
そうすると、3択や2択になってくるので、比較的正答率が上がるでしょう。
また、勉強の際も、細かい所まで勉強しすぎると、
他の理論や実技に割く勉強時間が足りなくなってしまう恐れがあります。
しっかりと理論家・理論の内容・キーワードという基本的なところを押さえておけば、
問題なく試験で正解できるレベルなので、
深追いしすぎず、基本情報を頭の中に入れておくことが大切です。
参考文献
・平木典子『新版カウンセリングの話』
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おわりに
・幸せ、ウェルビーイングに生きていきたい
・キャリアや人生で後悔したくない
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